« いつまでも変わらないもの。 | メイン | 久々のPalmの話題。 »

最近の憂鬱。

以下は昨今の医療問題についての事です。
国民皆保険のもと、日本国民が平等に同じ医療を受けられる世の中は終わろうとしています。
ここ最近、自分が小さいながらも医局運営の一端を任され、
自分の勤める病院機能の改善に対する会議にも出席するようになり、
こう言った現在の医療問題の勉強をするようになりました。

例えば「福島県立大野病院の医師逮捕事件」
このブログに詳しく書かれております:ある産婦人科医のひとりごと

僕は婦人科医ではありませんので詳細のコメントは出来ません。
亡くなった患者様やそのご家族の皆様の心中お察しいたします。
しかし、現場で必死に仕事をして結果が悪ければ逮捕ですから…。
その逮捕も件から一年以上後になって、
外来診察中に警察が病院まで来て逮捕ですからねぇ…。

単純に逮捕後に残された患者さんの診療は誰がするの?と思いますし、
後々の記事等を読んでいると、
この逮捕は結果責任だけ問われて過程を全く考慮してない
ようにも思われます。
#しかし詳細な内容がわからないので、上の内容は正しいとは限りません。
#あくまでも僕の個人的な思いですので、間違えないで下さい<(__)>

この事件をきっかけに地域医療は急速に崩壊し、医療格差は増大していっているようです。

最近あったお話ですが、以下の2つを読んでみてください。
加古川心筋梗塞賠償訴訟、これが真相か:新小児科医のつぶやき
厚顔無恥>大淀病院(毎日新聞誤報)事件:ある町医者の診療日記

この二つを読んでみて、共通の事項を感じました。
それは、患者さんはご家族の目に見えない診察室にいて、その中で何が起こっているのかがご家族からはわからないと言う事です。
二つの事件とも医師は必死に転送先確保を行おうと努力しております
しかしながら不幸なことに転送先確保まで時間がかかったと。
その時間の間中医師は現場で出来うる限りの治療を行っていると言う事です。

何がなんだかわからないうちにご家族は亡くなりました…
と言われても到底納得できるものではありません。
そこを明らかにするのが司法の役目だと思います。
しかしその責任全てを現場の医師に被せられたらたまったもんじゃありません
問題は転送をスムースに行えないような現状であり、
決して転送先を迅速に確保できなかった医師ではないはずなんですよね。
#心が痛みます…。

幸いな事に僕は各専門科がある大学病院に勤めております。
ですので、有事の際には遅くとも10分以内に他科の先生が駆けつけてくれます
しかしこれが当たり前じゃなくこの環境が珍しいのです。

僕なら絶対一人で今の環境以外の病院での夜勤はしたくありません
だって耳鼻科疾患以外で完璧に治療できる自信が無いですから。

お前医者だろ!とお叱りを受けそうです。しかしあえて言わせて頂きます。
昔はそういった2次救急病院で夜勤をしていても問題なかったのです。
それは、困った時にすぐに助けてくれる3次救急病院が常に確保できたからです。
実際、そうやって助けていただいた事は多々あります。
でも現在は様々な理由でそれが確保できる保障は無いのです。ですから、
何かあってもすぐ専門的対応が出来る自分の病院以外の夜勤は出来ないのです。


近年、医療費削減を命題にして政府は医療に対する数々の政策を加えてきました。
でもどれも改悪になるだけで改善にはなってないのが現状なんです。
我々のような大学病院でも経費削減を掲げ大きな現場の業務見直しを迫られています

「今まで医者は儲けすぎたんだ!」というご批判が聞こえてきそうですが、そうでしょうか?
例えばうちの助手以下の給料を単純に労働時間で割って見るとマクドナルドのアルバイト並みの時給なんですわ。これが。
僕が研修医や助手であった10年前とほとんど変化が無いのですよね。これが。
#バイトの時給の方が良かったりもする…。

何が言いたいのか良くわからなくなってきましたが、
現行の政府が今のまま医療行政を続ける以上この状態はもっともっとひどくなるんでしょうね…。

最近は医学部が人気だと聞きました。しかし、
本当にやりたい事がある人以外には胸を張って勧められる選択肢では無いと言う事だけは間違いないようです。

右脳^^部屋に戻る。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.